紀州屋良五郎の大衆演劇・上方芸能 通信

大衆演劇については全国の劇場や公演場所に出かけ、その地での公演の所感・演出効果・劇団の印象を綴ります。さらに大道芸や上方落語、講談、音頭、漫才、見世物、大道芸、放浪芸、映画評についても思いつくままに書き留めてまいります。 末永くのおつきあいをよろしくお願いいたします。

▩ 映画『泣く子はいねぇが』を見た たのしい ジス・イズ・ババヘラアイス

◎ まいどおおきに映画メモでおます~

 

 

 

☆所感☆

とても着想がおもしろい映画だ。

『ガンバレとかうるせぇ』などの佐藤快磨が、オリジナル脚本でメガホンを取ったドラマだ

秋田県男鹿半島周辺で行われてきた年中行事のなまはげはじめて映画でたっぷりと見ることができた。

 

それにしても今年は鬼の当たり年だ。鬼滅の刃の大ヒット、鬼ガール、そしてこの映画だ。疫病やどうにもならない行き詰まり、そして不正横行の世の中に痛めつけて欲しい存在が鬼かもしれない。

 

鬼はかよわいものの武器なのかもしれない。

鬼に金棒という言葉があるが金棒をもった鬼がバッサバッサと活躍して欲しいと願うのは民の思いかもしれない。できればよい子の仮面を脱ぎ捨てて鬼になりたいと思うのだ。

 

この映画の主役はどうにもならないダメパパだ。彼は父親になりたいが何をやっても上手くいかない。大失敗はなまはげをやった夜におとずれた。そんな彼の心の支えは妻と幼い我が子。だが、次第に酒に溺れとんでもない失敗ばかり繰り返すばかりのダメな父。やがて、妻にも愛想をつかされ離婚するがそれでも忘れられない子と妻。

一念発起して東京へ出稼ぎに出て立て直そうともがくも挫折して秋田に帰ってくる。

どうしても逢いたい妻子に会うには『なまはげ』になって泣く子はいねぇがと叫び我が子を抱くことだった。感動のラストは見逃せない。

 

現代の苦悶、シングル、子育て、非正規労働、家庭の絆が描かれた素晴らしい映画を見た。
 

 

 

 


 

STORY

秋田・男鹿半島のさびれた港町、娘が生まれたのにいつまでも父親の自覚を持てないたすく(仲野太賀)に、妻ことね(吉岡里帆)は愛想をつかしていた。大みそかの夜、「悪い子はいないか」となまはげたちが練り歩く街の様子を生中継していた全国放送のニュース番組に、全裸のなまはげが全力疾走する姿が映る。そのなまはげの正体は、妻との約束を守れず泥酔したたすくだった。

キャスト

仲野太賀、吉岡里帆、寛 一 郎、山中崇、田村健太郎、古川琴音、松浦祐也、師岡広明、高橋周平、板橋駿谷、猪股俊明、余貴美子柳葉敏郎

スタッフ

監督・脚本・編集:佐藤快磨
主題歌・音楽:折坂悠太
企画:是枝裕和
エグゼクティブプロデューサー:河村光庸
プロデューサー:大日向隼、伴瀬萌、古市秀人
撮影:月永雄太
照明:後閑健太
録音:吉田憲義
美術:西尾共未
衣裳:馬場恭子
ヘアメイク:那須野詞
小道具:故引英里
スクリプター内田智
音響効果:廣中桃李
キャスティング:田端利江
スチール:草野庸子
助監督:森本晶一
制作担当:角田隆
ラインプロデューサー:中円尾直子

上映時間
108分